はまの日常生活ブログ

日常のささいな出来事をブログに残しています。

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不動産仲介営業をしていた時のお話

 

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私が23才の頃に約3ヵ月間ほど不動産仲介営業マンをしていた時のお話です。

 

今から26年くらい前の古い話になります。当時の私は、レールを溶接する会社を退職して無職ニート生活を送っていました。毎週発売される求人雑誌を見て正社員の仕事を探していました。前から気になっていたのが不動産仲介営業の求人です。すごい良い事が書かれています。

例えば

①今月3件の家を売ったAさんの月収100万円

②今月2件の家を売ったBさんの月収80万円

↑こんな様な事が書かれています。それを見て「羨ましいな~俺もやってみたいな」と思い不動産仲介営業の仕事を探してみました。しかし求人内容を見てみると「経験者募集、経験者歓迎」というような求人ばかりで、未経験者募集の求人はありませんでした。そんな状況でしたが、たまたま未経験者歓迎の求人を発見しました。こんな感じの求人内容でした↓

「不動産仲介営業、正社員募集、20才~30才、勤務時間9時~18時、水曜休み、月収20万円以上可能、未経験者歓迎」

 なんと未経験者歓迎!と書かれています。これを探していました。すぐに電話して応募しました。「〇〇日に面接しますので来て下さい」と言われたので、面接しに行きました。行って見るとその会社は、けっこう有名な大きい駅から徒歩10分くらいの場所にあります。駅前によくある細長い雑居ビルの5階にありました。広さ的には40㎡くらいありました。従業員は社長と従業員合わせて6人の小さい不動産仲介会社です。支店はありません。1店舗だけの会社です。働いている人はみんな若いです。社長で30歳、従業員もみんな20代後半でした。

 

小さい会社なので面接は社長が担当していました。社長から「たくさんの応募があったけど、君はがんばりそうだから、来週の〇〇日から来てくれ」と言われて即採用になりました。面接では、ほとんど何も質問されませんでした。私の他に2名の男性が採用されていました。採用された人は私も含めてみんな20代前半の若者です。

 

求人広告に書いてある事と違いました。

①実際の勤務時間は9時~23時

18時で帰れると思っていたら、みんな普通に23時頃まで会社に残っています。0時過ぎまで残っている事もあります。終電も終バスも無くなる事もありました。社長や他の社員は車通勤なので遅くなっても帰れますが、私の場合、電車通勤なので終電がなくなると実家に電話して父にトラックで迎えにきてもらっていました。家からトラックで来ると30分くらいかかります。運送業で疲れている父に申し訳なかったです。今みたいにネットカフェがあればそこに泊まりますが、そういうのが無い時代でした。遅くまで会社にいて何かする事があるのかというと、ほとんど何もないです。席に座って資料を調べているフリをしています。あとは土日に案内を取る為に、お客さんに電話をかける事も少しだけありました。お客さんから電話がかかって来る事はほとんどありません。社長が22時頃までいるので、まず社長が帰らないと他の人達も帰れません。遅くまでいても残業手当とかはありません。

 

②水曜日も自主的に出勤が当たり前

水曜日は休みなんですが、社長も他の従業員も会社に出勤します。出勤しないとやる気がないと思われるみたいです。水曜日は朝から晩まで仕事をするのではなく、お昼頃に顔を出して夕方には帰るといった感じでした。

 

③給料は最初の1ヶ月は20万円、その後は歩合給。

働いて2ヵ月目になると社長から「給料を3種類の中から選ぶように」と言われました。1.基本給0円で歩合30%

2.基本給5万円で歩合20%

3.基本給10万円で歩合10%

私は稼ぎたかったので1番の歩合30%を選びました。私と一緒に入社した他の2名は2番を選んでいました。 歩合給について知らない人もいると思うので簡単に説明します。5000万円の家を仲介して売ったとします。3%+6万円=156万円が仲介業者の手数料収入になります。その156万円の30%、47万円が私の歩合給になります。かなりイイ収入になりますよね。だけど家はそう簡単には売れません。難しいです。

 

④社員かと思っていたら社員ではなかったみたいです

 社員募集と書いてあったので社員として採用されたのかと思ったら違ったみたいです。この会社を退職する時に源泉徴収票をもらえませんでした。次の会社で必要なので社長に源泉徴収票を下さいと言いましたが、結局もらえませんでした。健康保険や年金もない会社だったので、社員ではなく個人事業主みたいな感じだったのかなと思います。私だけでなく他の人達も社員ではないみたいです。

 

 お客様の見つけ方

不動産仲介営業なので、家を買ってくれるお客様を見つけないといけません。今みたいにネットが無い時代なので新聞の折り込み広告でお客様を見つけていました。大手の不動産会社なら1枚の大きな広告にたくさんの家を載せられますが、私がいた不動産会社は中小企業なので資金がありませんので他の不動産会社と共同で1枚の広告を作っていました。4社で一枚の広告を作る感じです。こんな感じです↓

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 このような共同広告を2週間に1回作って新聞に入れてもらっていました。だいたいどの会社も反響がありそうな似たような物件を載せています。それお客様からの問い合わせの電話ですが、2日に1本程度ありました。広告を見たお客さんから問い合わせがあったら、何をするかというと、社長からの必ず相手の電話番号、名前を聞けと指示されています。「今、担当者が不在なので、折り返し電話しますので、お名前と電話番号よろしいでしょうか?」と聞くと「じゃあ、いいです」と言って電話を切られてしまいます。当たり前ですよね、いきなり名前と電話番号を聞かれたら私も切ると思います。ちゃんと物件の説明をしてあげてお客様に信用してもらってから名前と電話を聞いた方がいいじゃないかなと思いました。

 

お客様を見つける方法で新聞の折り込み広告の他に捨て看というのがあります。電柱に巻き付ける看板です。こんな感じです↓

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夜23時頃になると会社の車に捨て看を積んで売りたい物件の近くで人通りの多い目立つ電柱に巻き付けていました。電柱にこんな看板を巻き付けてはいけません。条例違反になります。先輩に聞きました「捨て看を電柱に巻き付けているところを警察に発見されたらどうなりますか?」、優しい警察官ならすいませんと謝罪して看板を外せば許してくれる、厳しい警察官になると交番まで連れていかれて始末書か反省文?を書かされると教えてくれました。26年前の話なので今はもっと厳しくなっていると思います。

 

平日の仕事

平日の昼間は主に物件の下見です。同じ仲介業者からFAXで新しい物件の情報が送られてきます。お客様に紹介できそうな物件があれば車で見に行きます。夕方に会社に戻ってくるとお客様に電話をする作業です。土日に案内を取る為に脈がありそうなお客様に電話をします。しかし脈がありそうなお客様なんていません。2週間に1回だけ小さい新聞のチラシを作っても反響電話が来ないんだから新しいお客様が出来る訳がないです。それでも「土日に案内と取れ!案内を取れ!」としつこく言われます。実際に物件をお客様に見てもらわないと購入に結びつかないので案内を取れと言われるのです。

 

土日の仕事

土日は、お客様を物件に案内するのが主な仕事です。私は案内がほとんど取れず、会社にもいずらかったので車で物件の下見に行ってきますと言ってブラブラしていました。

土日に案内が取れないと「案内も取らないで何やってんだ、来週は取れるのか?」と嫌味を言われます。

 

社長が言うには「お客さんをうまく詰めて買う気にさせないとダメだ」と言いますが私として見たいだけなら見るだけでいいし、買いたい時になったら買ってもらえばいいと思います。急いで売らなくてもいいんじゃないかなと思いました。そこが経営者と労働者の考え方の違いなんでしょうね。私も経営者になれば社長のような考え方になるかもしれませんね。

 

不動産仲介営業の仕事を続けていくうちに気づいた事があります「俺、営業向いてないな」という事です。高収入の営業マンに憧れて営業の仕事を始めましたが、実際にやってみると向いてないという事がわかりました。そういう事がわかっただけでも不動産仲介営業の仕事は、とてもいい経験になったと思います。いろいろ勉強する事も多かったです、物件を売る前に水道局に行って水道管の位置を調べたり、東京ガスに行ってガス管の位置を調べたり、役所に行って区画整理の予定はないか?法務局にいって登記簿を閲覧して所有者の確認をしたりしました。

 

約3ヵ月ほど働いたんですが、家を1軒だけ売る事が出来ました。運よく入社して1ヶ月以内にお客様を発見する事が出来て4,500万円くらいの家を買って頂きました。会社には手数料で3%+6万円=141万円が入ります。私は、まだ実習中だったので給料の20万円だけでした。歩合30%なら42万3千円もらえていたんですけどね。その後に家を売る事が出来ず、2ヵ月間無収入でした。貯金もあまり無かったので退職する事を社長に伝えました。

 

退職してから5年後に会社の前を通る事があったので会社の方を見てみたら会社が無くなっていました。不動産仲介営業の会社は星の数ほどあるので、競争は激しいです。売れないと小さい会社は消えていく運命ですね。3ヵ月間の短い期間だけ働かせてもらいましたが社長や先輩従業員にいろいろと教えてもらいました。いい経験になりました。感謝しています。

 

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